ある占い師の話。

男は、占い師に言われた。
「あなたは1年後に死ぬでしょう」
男は、信じた。
家族や友達や先生の言うことも信じなかったが、
占い師の言うことだけは信じた。

そして男は、貯金を下ろして、
お金を使い果たした。
貯金がなくなったあとは、借金をして遊び尽くした。
家族や友人には、占い師に死ぬと予言されたことも、
借金のことも、話さなかった。

そして占い師に告げられた時から1年が経った。
しかし、男の身体に、とくに異常はなかった。
男に残ったのは、多くの借金だった。
この借金を返すために働かなければならないが、
占い師に告げられた翌日に、男は仕事を辞めていた。

男は、再就職しようとも考えたが、
1年間の休職期間のことを再就職先に
なんといって説明しようかが思い当たらなかった。
どうしようもなくなった男は、気づくと
住んでいたマンションの屋上に上がっていた。

「あなたは1年後に死ぬでしょう」

という占い師の予言を男は思い出した。

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