牛を見たあとに、牛カルビは食べづらい。

世の中には、見ないほうが生きやすい、
ということがあります。

個室トイレの前任者の顔は見たくありません。
見てしまうと、
アイツと間接的に触れあうのかとか考えてしまう。
行為にも集中できなくなります。

でも、人生でただ一度例外がありました。

福島県のガスト。
トイレに行く通路にさしかかったところで、
ドアがひらき、前任者と出くわす。
あちゃ、見ちゃった。
と、がっかりしながらドアをあける。座る。
トイレットペーパーに目がいく。
そのトイレットペーパーは、
きれいに三角形に折られていた。

この人となら、
間接的に触れあってもかまわない。
いえ、触れさせてください。
そう思いました。

それからずっと、福島県が好きです。

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