2016年09月

コロコロというヘアチェック。

洗濯をしている間に床の掃除をはじめた。
2、3日サボるだけで、
小さなゴミが散乱しはじめるのだ。

自分にとって必殺仕事人であるコロコロを手に取り、
目をキラリと光らせ、膝をついた体勢でゴミを拭き取る。
コロコロは大人の雑巾掛けのようだ。

普段目にいかないところまでコロコロする。
見つからなかったボタンが見つかったり、
探していたペンを発掘したり、
思いがけない再会が待っている。

旧友との邂逅をめぐる旅を終え、
付着したゴミを見ると
髪の毛が多さに驚かされる。
白い表面が毛で覆われ、黒くなっている。
自分の髪の毛を見ると減ってるどころか、
増えているように見えるのだが、
コロコロが真実を教えてくれる。
まぎれもない真実を。

コロコロは、
ヘヤチェックにも、
ヘアチェックにもなる掃除である。

雨の日のほうが晴れる。

外にいるときは雨が嫌いだけど、
家にいるときは雨のほうが好きです。

小窓の向こうでしとしと降りだす雨。
隣の家の瓦屋根に落ちる雨粒を時折見やったり、
その時に発する雨音を聞きながら、
本を読んだり、作業をするのが好きです。

なぜだかわからないけど、
晴れている日より、気分が乗ります。
とくに眠気がゆっくりやってくる夕方に
ひと雨くるととてもいい。
雷の音が遠くで鳴ったり、雨が激しくなると、
胸の高鳴りも静かに大きくなっていく。
外にいたら絶対に嫌だけど。

憂鬱な雨も、家にいれば、晴れやかな雨になる。

本当に欲しいものなんて、ないのかもしれない。

ある万年筆がどうしようもなく欲しかった。
喉から手がでるほど欲しかった。
デザインは言うことないし、
試し書きしたところ、書き心地も申し分ない。格もある。
まるで手だけリゾートにいるかのような万年筆だ。

しかし、予算の都合で、断腸の思いで諦めた。
一度火のついたほとばしった熱を抑えるのは、
とても簡単なことではなかった。
あくる日もあくる日も、ネットで写真を眺め、
レビューを読みあさり、体験談に憧れをもち、
うん、そうだよな、素晴らしいんだよな、
とその熱は冷めるどころか燃え盛っていった。

そんな火照った愛も、一ヶ月も過ぎれば、
一種の気の迷いだったかのように鎮火している。
いまでも、手に入れたい欲求はあるにはあるのだが、
あの時ほどの熱量は、もうない。

時間というのは、効果絶大の熱さまシートだ。
欲求を鎮めてくれる。そのとき思ったのは、
時がたっても熱が冷めないものこそ、
底から求めているものかもしれない、ということ。
だが、これまでの人生で長い間熱の冷めなかったものはなかった。
本当に欲しいものなんて、実はないのかもしれない。

数字に影響されない人間。

間食を完食すると本当に太る感触がある。
間食をした/しないで、
ひどいときは1kgくらいの差が体重計に現れます。

たかがエクレア一つだったり、
たかがシュークリームひとつだったり、
たかが煎餅数枚だったり、
ちょっとした間食でも、びっくりするような数字を
体重計が表示するときがある。

毎夜、体重をはかりはじめて、
間食のこわさを身をもって知りました。
太るのはわかりきっている。
数字が明確に示している。
それでも食べてしまうのが、人間というものなのです。