ひらがなの国の話。

カフェのテラスに
「る」さんが、
コーヒー片手にくつろいでる。

遠くの方から「あ」さんがやってくる。
どうやら友だちのようだ。
仲良く会話をしている。

「あ」さんが去ると、
こんどは「い」さんがやってきた。
親密に話し込んでいる。

そんな調子で「ん」さんまで
彼のもとに46人の人が訪れた。

その中で、見かけるなり、
眉間にシワを寄せて去ってしまった人は、
「む」さんと、「め」さん、
「ら」さん、「れ」さん、「を」さんぐらいだった。

「ある」、「居る」、「売る」…
「る」はひらがなの国のなかで
いちばん友だちが多そうだ。