ケツの穴の小さい男は、ケツも小さいと思う。

いま電車の席がふたつ空いている。
ひとつは、ぼくの右隣。
もうひとつは、向かい合わせのイケメンの左隣。

女の人が乗り込んできた。
ぼくの隣の席に座った。
500円をあげようかと思う。
いかんいかん。それは買収だ。
心の中でガッツポーズをしつつ、
文庫本に目を落とす。

ところで、ぼくの左隣の人は
なぜ1.5人分座ってるの?
表参道に着くまでに
体型を変えるのがムリなことくらい
ぼくにもわかってる。

でも、体型を変えられなくても、
体勢を変えることはできるよね。
もうちょい、日本人的な謙虚な姿勢、
体勢を、とれないものかと。

おや、よく見れば、
いちばんハシッコの
特等席であるにもかかわらず
完全には詰めてない。
何のための特等席なんだ。
もすこし、すがろうよ。

とか、みみっちいことを
いつまでも考えている私です。

名前

助六。

なぜキミだけそんな名前なのか。
コンビニで見るたびそう思う。
まわりには、にぎり寿司だとか、太巻きだとか、
ちゃんと名は体をあらわしているというのに。

どうやらその名前の由来は歌舞伎にあるらしい。
「助六縁江戸桜」という演目で、
主人公の助六と愛人で花魁の揚巻の物語。
揚巻の「揚げ=いなり」、「巻き=のり巻き」
その二つの組み合わせだからそう呼ぶのだそうです。

名前なんて、通じてしまえば
意味なんてどうにでもなる。
などといってよいのかわかりませんが、
お弁当コーナーでひっそり目立たない
存在でありながら、
ひとり異彩を放つそのネーミングに、
ぼくは敬意を払いたい。