焼却炉(しょうきゃくろ)と山ちゃん

0点のテストは、マンガではよく出てくるが、
じっさいにはあまりお目にかかるチャンスがない。
10点満点の漢字テストなどで、
なんとか目にするレベルだと思う。

学校の思い出は、あまり覚えていない。
思い出そうとして思い出せるのは
10個くらいな気がする。
算数とか、黒板とか、
何かフックになるものがあると
少しは思い出せる。
「そうじ」もそのひとつだ。

そうじの時間はキライではなかった。
ゴミを焼却炉で燃やすのを
待っているのも好きだったし
ゴミを投入するのも好きだった。

小学校高学年のときだろうか。
焼却炉が、使われなくなった。
なんでも、ビニールを燃やすと、
ダイオキシンとかいう体に悪いものが
出るらしいから、もう燃やすのはやめよう
ということらしい。

いつかの図工の時間。
絵を描く授業で、外に出ているとき
ふと焼却炉の中が気になった。
あんなにメラメラと燃えて
煙をはき出していた焼却炉。
彼の体内には、いま何がひそんでいるだろうか。
そんな思いから、焼却炉の入口をあけてみた。

山ちゃんの0点のテストが出てきた。
6枚、出てきた。
小テストではない。100点満点のテスト。
せめて名前は、本名で書こうよ、山ちゃん。