書くか、打つか。

「タタタタン タタタン タンタタ、ターーン

ある日のファーストフード店で
サラリーマンとおぼしき男が
パソコンでなにやら打っている。

「タタタンタン タンタン、ターーン

最後のエンターキーをたたく音が大きい。
静かな場所ではあまり気持ちのいいものではないけれど、
自分でも無意識にそうなってしまう時がある。

なぜだろう。

たとえば紙に文字を書くとき、
ゆっくりと、丁寧に、想いをしたためて書くことができる。
そしてそれは、字の上手い下手にかかわらず、
ちゃんと相手に伝わります。

しかしパソコンに文字を打つとき、
その一文字一文字に想いを
込めることは難しい。
パソコン上では
だれが打っても同じ文字になってしまう。

強くたたくと強く届く(気がする)。
たとえ相手には見えなくても、
少しでも伝わってほしいと願う気持ちが
最後のエンターキーを強くたたかせるのではないか。(ターーン)
そう思うと、少し許せるような気がしました。

とはいえ、公共の場所での想いの強すぎるタイピングは、
周りの方の迷惑になりますのでほどほどにしましょう。