2011年05月

記憶のスイッチ

たとえばどこかの飲食店で
クラシック音楽が流れていたら
その曲がよく流れていた小学校の
給食時間を思い出す。
中学生のバスケ部軍団を見たら、
キツかった練習のことを思い出す。
夕焼けを見たら、雨の日になったら、
香りをかいだら…

小学校の給食の光景なんて
なかなか思い出すことはないけど、
ふとした瞬間をキッカケに
記憶のスイッチがオンになり、
一瞬にして過去の記憶を呼び覚ます。

街には記憶のスイッチがオンになる場所がたくさん潜んどる。

3バカ新企画。

3バカがひとつのお題をもとに、
おもいおもいのことを書く「三馬鹿三様」。

第一回目のお題は「えんぴつ」です。

よかったら読んでやってください。

エンピツブヤキ

「・・・・・・」

「はやく顔だしたいなぁ…」

「・・・・・・」

カチャ、カリッカリッ、カリッカリッ、カリッカリッ

「おお、まぶしい」

シュッ、シュシュ、シュシュ、シュッ、シュッ

「紙、きもちいい」

ガリッ、ガリガリガリッ

「あれ?おしりが削られてる」

ガリッ、ガリガリガリッ
ガリッ、ガリガリガリッ
ガリッ、ガリガリガリッ
ガリッ、ガリガリガリッ
ガリッ、ガリガリガリッ

「6面ぜんぶ。しかも数字かかれたし」

「あぁ、わたしの体型が、六角形じゃなくて円形だったらよかったのに」

コロコロコロコロコロコロ

「この子の人生がどう転ぶか。それはぼくの転がり具合にかかっている」

えんぴつ

えんぴつはアピールすることが得意じゃない。
文具コーナーで、
シャーペンやボールペンが
大々的に宣伝していても
えんぴつコーナーのところだけは
隠れBarかのように
何も言わずにたたずんでいる。

えんぴつは形を変えない。
世界のどこに訪れても
そのほとんどが
正六角形か円形の形をしている。

えんぴつは、身を削られても
痛いとは言わない。
それどころか、
削られたあとは
スタイルが引き締まり、
凛とした表情を見せる。

えんぴつは書くという
役目を全うするために
うんと昔から存在している。

言い方をかえると
書くこと以外なにもできない。

その不器用ながらも
まっすぐな生き方をしてきた彼は
いま、もっとも使われてる筆記具として
世界中で親しまれている。

こだわりの威を借る。

たとえば、
CDが流れる喫茶店より、
レコードが流れる喫茶店のほうが
こだわりがあるように見えます。

炊飯ジャーで炊いたご飯より、
お釜で炊いたご飯のほうが
こだわりがあるように見えます。

新車をいち早乗りまわす人より、
古い車にずっと乗っている人のほうが
こだわりがあるように見えます。

おなじように、鉛筆を使っている人は、
それだけで少しこだわりがあるように見える。
そしてこだわりのある人は、
「できる人」を想像させてくれます。

さらにこだわりのある人を演出するために、
少しだけ良い鉛筆を使うことをおすすめします。

そしてその鉛筆のウンチクを
ひとつふたつしたためておきましょう。
こだわり感はさらに強まります。

しかし、使っている理由は
あくまでも書き心地の良さである、
ということを忘れてはいけません。
さもなくば、ただのブランド好きの
ウンチク野郎と思われてしまうでしょう。

なつかしさのあまり
ガジガジしないようにしてください。
無意識に噛んでしまった場合は、
いっそのこともっとガジガジして
「うちの犬がさぁ」とごまかしましょう。

耳にかけると、ちょっと職人ぽくなります。
しかし人によっては勝負師ぽくなってしまうので
注意が必要です。

また、鼻と上唇の間に挟んでおどけたくなる
気もわかりますが、よほど自分の愛くるしさに
自信のある方以外は控えたほうが賢明に思います。

たった一本の鉛筆で、ちょっとできる人に見えてくる。
なつかしいだけでは、もったいないと思うのです。