おいしい動物
もうすでに混ぜる必要などないのに、
彼女は音を立てて、カップの中をかき回す。
(「サクリファイス」より)
前のベンチで白人のカップルが(おそらく)別れのキスをしている。
その様子をすぐ近くで三歳くらいの日本人の
男の子が不思議そうに見つめている。
世之介はバッグからカメラを取り出すとその男の子をパシャリと写した。
男の子の表情は、二人が何をやっているのだろうかというよりも、
この先どちらかがどちらかを食べるのではないかと
心配しているように見える。
(「横道世之介」より)
昭子は美しく若い女だった。若いといっても初夏の樹のように
はつらつとした感じではなかった。
月の光で虹ができるものなら、それに似ているといえよう。
どことなくすがすがしく上品で、そして清らかだった。
(星新一の本より(題名を失念してしまいました))
人によって浮かぶ映像は違うかもしれないけど、
人は、言葉と想像力で見ることができる。
自分以外の物語を体験できる。
ただそれだけなんですけど、
人間ておいしい動物だなあと改めて思いました。
2011年4月9日 12:00 AM | カテゴリー:ぜんぶ, 3バカ日誌 : 木村泰斗 | コメント (0)