3バカ日誌 : 武井宏友

大人は、年末年始に試される。

クリスマス。
子どもの頃、あれほどワクワクしたイベントも、
大人になるとまったく違うものになる。

もらう側から、あげる側へ。
この個人的なパラダイムシフトは、
まさに大人の階段を昇っていることを
実感させられる。

クリスマスはまだいい。
多くの人が、学生時代から
その現実に少しずつならされていく。
故にそのショックも大きくない。

お年玉。
これほど天地がひっくり返る
イベントもない。

もらうことが当たり前だった立場から、
いつの間にかあげることが当たり前となる。
プラスからマイナスである。

とはいえ、本音を言えば、
どちらも別にイヤなことじゃなく、
むしろうれしかったりもする。
大人って、けっこう不思議な
生き物です。

ところで、メリークリスマス。

退化も進化と呼んでいる。

世界は、つねに新しいものが生まれています。
これまでより進化したものが生まれています。

たとえば毎年決まった時期に、新モデルがでる。
そしてその商品はこれまでとのちがいを大きく
アピールします。
でも、本当はそんなに都合良く
劇的な進歩が毎回が起きるわけじゃない。

進化は、よりいっそう便利になるわけじゃ
ないなって思うことも多い。
むしろよけいな変更をしたことで、
使いにくくなったりすること
だってたくさんある。

そういうのって、必要だから生まれたのではなく、
もっと大人の事情の中でこねくりまわした、
苦肉の進化みたいなものなのでしょう。

そんなこと、きっと現場の人にとって
みれば当たり前のことかもしれない。
だけど、僕らはつねに新しいもののほうが
より優れたものだと思ってしまう。

必要なものは自然と進化していく。
だからこそ、その必要なものを探すことの
ほうが、もっと意味があるような気がする。

すべての経験は、いつか使える。

子どもの頃、ダイエットと無縁だった人も、
大人になるにつれ、徐々に体重がふえていく。
そんな人も多いと思う。

動けば、いいのだ。
しかしなかなか動かない。
とりあえず、カロリーコントロールに走る。
もちろん、すぐ挫折する。

若い頃に意識してダイエット経験がないと、
歳を取った時に、結構困る。

若い頃は、ダイエットと無縁で
よかったな、と思っていたけれど、
まさか、こんなところに落とし穴があるとは。

いやはや、悪いことでも、
経験はしておくものだ、と思った。

とはいえ、歳をとって思うことは、
人間とは、なんと怠け者であろうか、
ということである。

SCC

静岡コピーライターズクラブという団体があります。
そこで毎年行われるコピーの公募
「SCCしずおかコピー大賞」というものがあり、
きょねんに引き続き、ウチのボスが特別審査委員として
参加させていただきました。

この賞は、ぜんぶで5つの課題があり、
その中から、大賞や準大賞を決める、とのこと。

で、審査しているコピーを横目でちらちらと見ていて、
ひとつ、すげぇいいなぁと思ったコピーがあったのですが、
案の定、大賞でした。

そのコピーがこちら、


「お困りですか?」私服の私が言えないことを、
制服の私は簡単に言う。


ちなみにその課題は、
「働く自分が好きになるコピー」です。

実感値がハンパなく高い、ですよね。
たぶん、多くの人が、「わかるわかる!」
と思ったのではないでしょうか。

大賞を取ったのは学生の方らしいのですが、
すごいな、と思いました。

滝絵さん

その人を、私は知らない。
女性のような名前だが、
あまり聞き馴染みのある名前ではない。
だが私は、その人の名前をとてもよく見る。

正確に言うと、
その人の名前を、メールでよく打つ。
急いでいる時ほど、よく打つ。

なんのことはない。

私の名前は、武井である。
アルファベットで打つと、takei。
滝絵さんは、takie。

そう、私は急いで「takei」と打とうとすると、
「takie」と打ってしまうのだ。

いや、ただそれだけのことである。
だが私は心のどこかで、
滝絵さんを探しているのかもしれない。